「年を重ねると、歯や口の衰えは仕方がない」と考えてはいませんか。実は、お口の健康は私たちが想像する以上に、全身の健康や生活の質（QOL）と深く結びついています。
高齢者の口腔ケアの重要性
高齢者の口腔ケアは、全身の健康を維持し、その方らしい生活を守るための土台と言えます。なぜなら、お口の健康状態は、栄養状態、コミュニケーション、感染症の予防など、全身の健康と生活の質（QOL）に関わっているからです。
お口のトラブルを放置することは、様々なリスクの引き金となり得ます。
例えば、入れ歯が合わずに食事がうまく噛めなくなると、柔らかいものばかりを食べるようになり、栄養が偏ってしまいます。その結果、体力や免疫力が低下し、寝たきりになるリスクも高まります。
また、お口の中のケアが不十分だと、細菌が繁殖しやすくなります。その細菌が唾液や食べ物と一緒に誤って気管に入ってしまうと、「誤嚥性（ごえんせい）肺炎」を引き起こす危険性が高まります。日本の高齢者の死因として上位にある肺炎ですが、その多くがこの誤嚥性肺炎だと言われているのです。
このように、口腔ケアは、利用者様の生命を守るためにも欠かせない取り組みだと言えます。
訪問歯科の役割
訪問歯科診療は、通院困難な利用者様に対して、歯科医師・歯科衛生士がご自宅や施設を訪問し、歯科医院と同等レベルの治療・ケアを提供するサービスです。
訪問歯科が担う役割の一つに、ケアマネジャー様を中心とした多職種連携を円滑にし、チームケアの質を高めることが挙げられます。
例えば、歯科医師が合わない入れ歯を調整すれば、食事がしやすくなります。さらに歯科衛生士による専門的な口腔ケアを継続することで、誤嚥性肺炎の予防も期待できるでしょう。私たちはその経過や今後の注意点などを報告書にまとめ、ケアマネジャー様やヘルパー様と速やかに共有します。
この専門的な情報があることで、食事形態を見直したり、日々のケア方法を工夫したりと、より根拠に基づいたケアプランの作成が可能となります。
利用者様を想うからこそ、お口の問題について、このようなお悩みや課題を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
- 利用者様から「入れ歯が合わない」「歯が痛い」と相談されたが、どこに繋げば良いかわからない。
- 食事量が減ったり、むせたりする方がいるが、原因がお口にあるのか判断がつかない。
- ご家族に口腔ケアの重要性を伝えたいが、専門家ではないため、うまく説明できずにもどかしい。
- 居宅療養管理指導報告書をしっかり書いてもらえる歯科医院が見つからない。
- ケアプランへの組み込み方がわからない。
もし、一つでも心当たりがあれば、ぜひ私たちにご相談ください。
訪問歯科と連携することは、利用者様のQOL向上はもちろん、ケアマネジャー様の業務をサポートするというメリットがあります。
利用者様の口腔状態を正確に把握できます
ケアマネジャー様だけでは判断が難しいお口の中の状態を、歯科医師・歯科衛生士が専門家の視点で評価します。
虫歯や歯周病の進行度、入れ歯の適合具合、嚥下機能などを診断することで、利用者様が抱える問題の原因が明らかになるでしょう。これにより、的確なサービス調整と効果的なケアプランの作成が可能となります。
ご本人・ご家族の理解を得やすくなります
口腔ケアの必要性や食事形態の変更などを提案する際、歯科医師や歯科衛生士といった専門家による診断内容を基に説明することで、説得力が格段に増します。
診断内容や指導内容がケアマネジャーに共有されます
訪問ごとにお口の状態や治療内容、ご自宅での注意点などを記載した「居宅療養管理指導報告書」を提出します。
この記録があることで、医師や看護師、ヘルパーといった多職種とのスムーズな情報連携を実現し、チーム全体で一貫した質の高い支援を提供しやすくなります。
本来のマネジメント業務に集中できます
お口に関する専門的な対応を任せられるため、ケアマネジャー様は本来の業務であるケアプランの作成や多職種との調整に、より一層集中していただけます。
「手続きは簡単？」といった、実務的な疑問についてお答えします。
訪問エリアについて
訪問歯科診療の保険適用は、原則として「歯科医院から半径16km圏内」にお住まいの方が対象です。この範囲内であれば、ご自宅はもちろん、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、特別養護老人ホームなど、患者様が療養されている場所へお伺いできます。
※デイサービスやショートステイといった通所・短期入所施設は、原則として保険適用の対象外です。
※詳細な訪問エリアについては、お気軽にお問い合わせください。
お申し込みから利用開始までの流れ
訪問歯科は以下のステップでご利用いただけます。
- ご相談・お申し込み
まずはお電話（045-721-2060）にて当院へご連絡ください。患者様のお名前、年齢、お体の状態、お口に関するお悩みなどについて簡単にお伺いします。
- 事前準備
ご都合の良い日時を調整し、初回の訪問日を決定します。訪問日までに、健康保険証、介護保険証、お薬手帳などをご用意ください。
- 初回検診
初回は歯科医師と歯科衛生士がチームでお伺いします。利用者様の口腔内チェック、嚥下機能の確認、現在のお困りごとの詳細なヒアリングを行います。水道や電源をお借りする場合がありますので、事前にご準備をお願いします。
- 治療計画のご説明
その場で検診結果をわかりやすくご説明し、今後の治療方針、必要な治療期間、費用の概算をお話しします。ケアマネジャー様には、利用者様の状態と治療計画について情報提供し、今後の連携方法についてもご相談します。
- 治療・ケアの実施
治療計画にご納得いただけましたら、計画に基づいて治療や口腔ケアを開始します。毎回の診療後には、実施内容や利用者様の状態についてケアマネジャー様にご報告します。
- 継続的な管理と連携
治療完了後も定期的な口腔ケアや機能維持のためのリハビリテーションを実施します。居宅療養管理指導報告書を定期的に作成し、ケアマネジャー様に提供します。
訪問歯科診療にかかる費用は、主に「医療保険」と「介護保険」の自己負担分を合計した金額となります。
費用の内訳は、主に以下のようになります。
医療保険の適用分
虫歯治療、抜歯、入れ歯の作製・修理といった「治療」に関する費用です。自己負担割合は、年齢や所得に応じて1割〜3割となります。
スクロールできます
介護保険の適用分
歯科医師や歯科衛生士による療養上の管理や指導（居宅療養管理指導）に関する費用です。要介護認定を受けている方が対象となります。
例えば、後期高齢者医療制度で自己負担1割の方の場合、1回の訪問にかかる費用は、治療内容にもよりますが医療保険分と介護保険分を合わせて1,000円〜3,000円程度が目安となります。
訪問歯科について「うちでも来てもらえるの？」「まず話を聞いてみたい」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。患者様のご自宅や施設の状況に合わせて、最適な訪問プランをご案内いたします。
下記、電話番号までご連絡ください。
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